XP-Pen様からご提供いただいた製品Deco LWをレビューしていきます。
タイトルにもある通りX3スマートチップというXP-Pen独自の仕組みを採用しており、さらにワイヤレスにも対応した注目の板タブです。
今回のレビューでは、
- X3スマートチップ搭載機は使い心地が本当に良いのか
- 2022年現在のワイヤレスペンタブは実用的なのか
といった点に注目しながら1ヶ月ほど使った感想をお話しします。
本製品に興味がある人はもちろん、板タブと液タブで迷っている人やワイヤレスペンタブの実用性が気になる人もぜひ参考にしてみてください。
- 1.外観・内容物
- 2.基本スペック
- 2.1X3スマートチップとは
- 3.描き心地
- 4.ワイヤレスを使った感想
- 5.まとめ: Deco LWのここがおすすめ!
外観・内容物
まずは中身の様子を写真で紹介していきます。
箱を開けると早速袋に包まれたペンタブが姿を見せます。
上に乗っている紙にはサポートの受付時間やお問合せ先が記載されていました。
ペンタブを取り出すとペンや書類などが出てきました。
他に入っていたのは、microUSB・USB Type-Cへの各変換アダプタ、Bluetoothレシーバー、USBケーブル、芯抜き、そして替え芯が…11本。
公式HPでは替え芯10本と記載されていたので「あれ?」と思い何度も数え直しましたが11本入っていました。ちょっとだけラッキーです。
袋から取り出したペンタブがこちら。シンプルなデザインで個人的には好印象です。
サイズは13.3インチのノートパソコンとほぼ同じくらいでした。一緒に持ち運ぶなら相性ピッタリですね。
XP-Pen製のペンタブに付いてくる特典ソフトopenCanvasも入手しました。
クリスタを使っているのでメインにする予定はありませんが、何か特有の強みが見つかれば使い分けを考えています。
基本スペック
Deco LWの基本スペックを表にまとめました。
性能は2022年標準といった感じで、欠点らしい欠点がありません。
強いて不満点をあげるならバッテリー時間をもう少し長くしてほしかったくらいでしょうか。
現行の板タブのほとんどは、このくらいの性能で足並みが揃っている印象です。
高価な板タブも性能面での違いは小さく、指でのタッチに対応したり高性能なペンを採用したりといったところで差別化しているように思います。
▶Bluetooth v5.0
Deco LWで個人的に期待しているのはBluetoothのバージョンが5.0である点です。
5.0以前と比べてデータ転送速度・距離・通信量が向上しており、遅延の減少や接続の安定性が期待できます。
使っているPCやスマホがBluetooth v5.0より古くても付属のレシーバーで対応できるので安心です。
▶対応デバイスが多い
PC・Android対応は今となっては当たり前みたいになっていますが、Deco LWはさらにibisPaint限定ながらiPhoneやiPadでも使えるようになっています。
板タブなので薄くて軽く持ち運びが簡単、ワイヤレスにも対応、その上これだけ多くのデバイスに対応しているとなると、文字通りどんな使用スタイルでも柔軟に使っていけるでしょう。
▶コスパが優秀
最後に値段が11,980円であることについてですが、ワイヤレス対応でこのサイズの板タブならちょうど良い塩梅だと思います。
参考までに2018年から販売しているWacomのワイヤレスペンタブを例に挙げますが、この製品の値段は2万円。
対してDeco LWは2022年基準の性能をこの半額で提供しているわけですから、コスパの良さは言うまでもありません。
またXP-Pen製品はセールの開催も多めなので、より安い価格で購入することも簡単です。
X3スマートチップとは
ペンがX3スマートチップ搭載の新設計になったことで次のような改善がされました。
- 3g以下の小さな筆圧も検知できるように
- ペン先の沈み込みが従来の半分(0.6mm)に
- 消耗品であるスプリング機構が廃止されペンの耐久性が2倍に
- 信号処理の方法がアナログからデジタルになり安定性が向上
ここでは簡単な説明に留めましたが、詳しく知りたい方は公式のページを読んでいただければと思います。
描き心地
▶ペン
ペンはシンプルな作りで値段相応といった感じですね。
ある程度高価なペンタブのペンならグリップが付いていますが、このペンには付いていませんでした。
とはいえ特に使いづらいということもなく、すんなりと受け入れることができました。
太さに関しては比較的スリムな方で、手の小さい人でも持ちやすいかと思います。
▶ペンタブ表面の質感
スマホの画面のようなツルツルではなく、かといってペーパーライクフィルムほどのザラつきはありません。
今までWacomのCintiq 16やHuionのKamvas 16(2021)といった液タブを使ってきましたが、それらの画面と比べるとほんのわずかに摩擦が強く、個人的にはこのくらいがちょうど良いと感じました。
▶ペン先の沈み込み
指で触れてみるとチャキチャキと音がするものの、確かに沈み込みが少なく0.6mmというのは納得がいきました。
正直ペン先の安定性はKamvas 16(2021)の方が優秀だと思いますが、これはこれで使っていて何の支障もなかったので不満はありません。
▶応答速度
一応ワイヤレス接続で試し描きした時の様子を動画で撮ってみましたが、皆さんはどう感じましたでしょうか。
手ブレ補正0にしたペンツールで文字を書き、透明部分を保護→虹色のグラデーションという操作を行っています。
実際に描いた身としては、板タブと画面で離れているのもあってか遅延が感じられませんでした。
ワイヤレス接続でこれだけ反応が早いなら十分ではないでしょうか。
▶傾き検知
こちらはクリスタの鉛筆ツール(ブラシサイズ15.0)で線を引いた動画です。
このように傾き検知に対応したツールはペンを立てるのと傾けるのとで違う表現ができるのですが、ペンタブによっては思うようにできないものもあります。
Deco LWのペンはX3スマートチップ搭載したことが功を奏しているのか、かなり使い分けやすかったです。
アナログに近い自然な表現をしたい時でも不便を感じることはないでしょう。
ワイヤレスを使った感想
PC内蔵のBluetooth(v5.0)でも付属のレシーバーでも遅延が分からないレベルで、通信も安定していました。
そして実際に使ってみて感じたのは、「ケーブルから解放されるだけでもこんなに快適になるんだな」ということです。
机の景観(?)を損なわないのが良いですし、何よりケーブルをつなぐひと手間がなくなるというのが大きなメリットでした。
ケーブルを気にせずあちこち動かせるのも最高です…!
ただ人によっては充電まわりが面倒だったり、接続の安定性が心配だったりすると思うので、その場合は無理にワイヤレスにせず有線で使うのが無難です。
とはいえDeco LWはどちらの使い方も可能ですので、もし買われた際は自分好みの使い分け方を探してみてほしいなと思います。
まとめ: Deco LWのここがおすすめ!
以上、XP-Pen Deco LWのレビューでした。
個人的に気に入った点をざっくりまとめるとこのようになります。
- 色んなデバイスで使える汎用性
- 有線とワイヤレスの使い分けで様々な制作スタイルに対応
- X3スマートチップ搭載ペンの描き心地は伊達じゃない
2022年のスタンダードな性能を確保しながらも実用性のあるワイヤレスを搭載しており、それでいてサイズも十分。
さらにX3スマートチップを搭載したペンは安定性・反応性に優れていますし、傾き検知を生かしたストロークも思いのままに表現できます。
全体を通して大きな欠点やクセがなく、初心者から経験者まで幅広く受け入れられそうな製品だと感じました。
ワイヤレスペンタブに興味がある方は、最初の1台として本製品を検討してみてはいかがでしょうか。
出典元:https://kyotokeynote.com/blog/deco-lw-review/#toc